予備試験短答式に合格していました ― 法律を「現場でどう使うか」を考える

予備試験短答式試験の結果を確認したところ、合格していました。

今年は、親の死去などがあり、十分な勉強時間を確保することができませんでした。試験後も、正直なところ合格しているとは思っておらず、自己採点もしないままで、8月6日の合格発表を見て、我が目を疑いました。

今後は論文式試験に向けた勉強に時間を割くことになりますが、今回あらためて考えたことがあります。

それは、私が法律を学んでいる目的は、単に試験に合格することでも、法律知識を増やすことでもない、ということです。

産業医や労働衛生コンサルタントとして企業の現場に関わっていると、労働災害、長時間労働、メンタルヘルス、ハラスメント、安全配慮義務など、医学だけでは解決できない問題に数多く直面します。

一方で、法律を知っているだけでも十分ではありません。

例えば、ある労働災害について裁判所が「安全配慮義務違反」を認めたとしても、現場の管理者が本当に知りたいのは、

「では、事故が起きる前に、具体的に何をしておけばよかったのか」

ということではないでしょうか。

判例を読むと、そこには事故が発生するまでの経緯、会社側が把握していた事情、設備や作業方法、過去の事故やヒヤリハット、労働者と管理者のやり取りなど、非常に多くの事実が書かれています。

しかし、それらを単に「判例の事実関係」として読むのではなく、

という視点で読み直すと、判例は現場の安全衛生教育そのものになります。

これは法改正についても同じです。

法改正があると、「○○が義務化されました」「違反すると罰則があります」と説明されることが多いですが、それだけでは現場の行動はなかなか変わりません。

重要なのは、

まで落とし込むことだと思っています。

例えば、

「事故の3秒前に何ができたのか」

「会社はどの時点で危険を予測できたのか」

「安全配慮義務とは、現場ではどんな行動を意味するのか」

「法改正によって、明日から現場で何を変えるべきなのか」

といったテーマです。

文章だけでは分かりにくいものについては、図解や短い動画、3D映像なども使いながら、できるだけ具体的に示していきたいと考えています。

法律というと、どうしても条文や判例を覚えるものというイメージがあります。

しかし、労働安全衛生の現場では、法律は事故や健康障害が起こった後に責任を判断するためだけのものではありません。

「ここに危険がある」

「このままでは同じ事故が起きる」

「この作業方法は変えた方がいい」

判例や法改正を、過去の出来事や知識として終わらせるのではなく、これから起きる事故を防ぐために使う。

今後は、そんな視点から少しずつ取り上げていきたいと思います。